現代日本における農業の位置づけ・現状・課題

◇日本農業の現状について考える。

日本の農業は今も昔もあまり変わっていません。戦後の農地開放によって地主制度は崩壊し、農家が個々に農地を所有し、農産物を生産販売することによって利益を得ることができるようになりましたがその位置づけは微妙です。

「農業」は単純に人が暮らしていくため「仕事」という側面のみで考えてしまいがちですが、同時に大きな視点、「国の食料を供給」するという側面を持っています。

例えば、日本が他国と戦争状態地に陥った場合、その国からの食料の輸入を期待することはできませんよね。
つまり、農業は食料の自給という国策の側面を担ってもいます。

そのため、多くの国では、農業に対して保護政策、農家に対して助成金を出すなどして保護し、食品の自給率を確保する努力をしているわけです。

しかし、日本の農政は、「猫の目農政」と言われるように、輸出入のカードの一つして扱われ、米の減反政策なども目まぐるしく変化してきました。

◇農家現場、農家の実際について。

日本の農家もそうった政策によって翻弄されてきました。助成金がたっぷりもらえて生産用の機械を簡単に購入できたかと思えば、米販売の自由化・米価の下落などにより機械のローンを支払えなくなるなど、政策の不安定さにより農家の生活も不安定なものにならざるを得なかったわけです。

しかし、こういった問題の原因は政策だけでなく農家側にも問題があると言えるかもしれません。

農地開放による農地の取得が原因なのか、単純に世襲による経営に問題があるのかわかりませんが、日本の農家は「土地」に対する強いこだわりがあります。

の「農地」の価格は本当に土地としては取るに足らないものですが、価格の問題でなく、「農家にとっての大切な資産」として売買の対象になりにくいものになっています。

それは悪いことではないのかもしれませんが、多くの場合生産効率を悪くする原因になっています。

例えば30アールの水田を5箇所所有している場合、その5箇所が飛び地になっているよりも、並んでいたほうが効率が良いのは明白です。田植えをするにしても、刈り取りをするにしても機械運用の効率が良くなるのは明白ですがこれがなかなか進まないのが実情です。

さらに、農家の多い田舎ではよそ者を嫌う傾向などもあり、外部の人間が農産物生産のビジネスに非常に参入し辛い状況を作り出しています。

これは、例に挙げた米以外でも同様と言えます。

◇解決策となりうるのか、法人化について。

これらの課題を解決する手法として最も近い所いあるのが法人化といえます。会社形態による農業経営が前述の問題を解決手段になり得るのではないでしょうか?

しかし、これにも問題は多くあります。前述の通り法人は農地の取得が難しいといった問題もありますが、最大の問題になるのは、所得性があまり良くないことにあると思います。

「農産物生産は儲かる」という前提があれば多くの企業が農業ビジネスに取り組むのは明白です。

実際、現在の食品販売は量販店などの買い手市場。

多くの量販店が2週間前に印刷を発注した広告に合わせた価格の農産物を「市場」「仲卸」に納入させるのが実情です。

多くの場合、農産物を生産している側は自分の生産物に価格をつけることできない。または、現在の状況に合わせた、価格をつけざるを得ないのです。

生産者側が「この農産物を生産するにはこれだけのコストが掛かっているのだ。」と主張しても、それに耳を傾けてくれる人はほとんどいないのが実情です。

利益の確率できない商売をする人はいませんよね。

現在、国の推進により農業を営む法人は多くありますが、運営状態は厳しく、利益を確保している会社は少ないと言えます。

◇みんなで変わろう変わるべき様々な未来

農業の未来明るいものにするためには、いろいろなものが変わらないといけません。

農家、農政、農産物の販売に携わる市場、仲卸、小売を担う量販店など。

また、最も重要なのは末端でそれらを業種を支える消費者の意識の変化なのかもしれません。

◇未来

昔、農産物の販売を大きく担っていたのは八百屋でした。彼らは自信の学習・知識で農産物の情報、美味しい食べ方や、してはいけない食べ方などを消費者に提供してきました。

しかし現在、それらの仕事を代わりに担っている量販店の担当者は販売ノルマの達成に手一杯で、そういった情報提供ができません。

おかげで、消費者のクレームを農家に伝える橋渡しのような状況です。
日本は文化的な大国であり、多くの日本国民が「米のことまでいちいち考えていられないよ。」と思うのも当然のことかと思います。

でもそれは、「お金さえ出せば日々食べられる」のが日本の常識だからです。
そうあり続けるために、日本の農業に興味をいだいてみてはいかがでしょうか?